2008年11月13日木曜日

 

特集「オルハン・パムクの世界」を読む 現代が抱える様々な価値観が盛りだくさんの彼の作品を読んでみたくなりました。

昨夜は、「トルコとは何か」という本の「Ⅱ オルハン・パムクの世界」の部分を読んでいた。
(別冊 環 ⑭ 藤原書店 3200円)
一番印象に残ったのは、
莫 言 (Mo Yan )という人の文章{「雪」の鑑賞と分析}の中の一説だ。

『雪』がこれほど広く論議を引き起こし、これほど強い振動を生み出せた理由は、そのポリフォニーと道徳観の多重性にある。
とした上で、
もちろん作家は社会問題に対して自分の見方があるし、自分の道徳基準を持っているが、世界で起こった多くの重要な問題に直面した時に、作家は自分に限界があることを認識すべきだ。なぜなら自分が正しいと思う思想は、実は歴史的な限界と個人的な偏見を帯びているかもしれないからだ。
と述べている。
特に、「歴史的な限界」、「個人的な偏見」というのが、分かる気がした。
こういうものから、誰も逃れられないし、
また、国が違うと、抱えるものが大きく違う。

私は、同時代のこのトルコの作者が、どのような作品を書いたのか、読んでみたくなった。

また、
パムクの母親が、彼に、芸術への野心よりももっとすばらしいことは、慎み深く勤勉に生きることだと語っていたというエピソードも興味深かった。「参照:さあ、この街を眺めよう 『イスタンブール』を読む ロータル ・ミュラー」実際の彼は、ノーベル文学賞をもらうことにより、世界的な広がりをもって論議の的になったし、
非トルコ的という理由で告訴されるなど社会的にも無関係でいられることを許されず、母が望んだ静けさとは、程遠い存在となった。

私はこの本で、何人かの人の、パムクとその作品についての文章を読んで、ぜひ、実際の作品を読んでみたくなった。
自分の興味と重なるたくさんの葛藤や価値観、どうにもならなさなどが、盛り込まれているような印象を受けたからだ。


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