2006年6月25日日曜日

 

クナゲジェシ


クナゲジェシに行ってきました。「ゲジェ」というのは、トルコ語で、「夜」のことです。会場に着くと、花婿さんは、怒っています。太鼓係りが来ないと言って怒っているのです。本当は、4人のグループが音楽を担当する予定でした。太鼓一人、ズルナ(笛のようなものらしいです)を吹く人一人、それに、踊る人2人の4人です。1週間前に予約したのに
今日になって、電話がつながらないし、来ないらしい。その後、花婿自ら、一所懸命ステレオをセットしていました。
クナゲジェシというのは、結婚式前夜の女性だけの、行事です。音楽にあわせて、トルコのステップと、肩を前後にゆするのが特徴の、ダンスを踊ります。見よう見まねで、私も踊りました。ステップ自体は、そんなに難しく感じませんでした。いくつか、パターンがあって、難しいのも、簡単なのもあるらしいです。
私は、一人、外国人だったので、私のまわりに、子供たちが集まってきてしまって、一緒に踊ったり、話をしたがりました。そんなに苦痛には思わなかったけれど、知り合いの奥さんが、「恥ずかしいことよ。あっちに行っていて。」と子供に言ったり、私の手をひいて、「こっちの方が、あなた、楽だと思うから」と、気心の知れた大人の集まりまで、連れて行ってくれました。女の人、70人くらい、全員が、踊るわけではなくて、50歳くらいの人に、「踊りましょう」と言ったら、「私は、あんまり知らないの。若い人たちが知っているわ」と言って、ずっと座って、私のかばんを見ていてくれました。確かに、踊っている人は、若い人が中心でした。途中で、ノリノリの人たちが、踊っているところに呼ばれて、腰にじゃらじゃらをつけられて、盛り上げられました。私はこういうとき、どこまで、どういう風に断ったらいいのか、分からないときがあります。その場所での常識、習いが分からないからです。そうすると、さっきの奥さんがまた、さりげなく、やってきて、「その腰のを、返して、私と一緒に移動しましょう。」と言いました。「どこに」というと、「知らないけど」と言います。私ははずして、ノリノリの女の人に返しました。そして、その奥さんに手を引かれ、場所を変えました。「あなたのために、いいように、したのよ」と、多分わけのわからない顔をしていた私に言ってくれました。この奥さんは、ノリだけに流されず、伝統的なステップを、きちんと踏もうとしているようでした。誰よりも上手なくらい、腰をゆらして、上手に踊るけれど、自分の知らない踊りのときは、輪に入っていってしまいそうな私をとどめて、「私も知らないから、ここで、見て、ステップを覚えてから入りましょ。」と言ってくれました。奥さんは、賢くて優しい女性だと思いました。
70人くらいの人、全員カパル・・トルコ語で「カパル」というのは、「閉じている」という意味で、長袖長いズボンか、くつぶしまでのスカート、頭にスカーフをしている人たちでした。それでも、私が、膝丈のスカートで、いるのは、何の問題もないようでした。
他の人は、特に外国人は自由なのでしょう。長いスカートが多かったので、ステップを盗み見るのが難しかった!!ズボンの人だと、まだ、足の動きが見られるんだけど。
だいぶ踊ったあと、電気が消され、クナが始まるよと言われました。赤い布をかぶった新婦の上にろうそくがたくさん立ったお盆が運ばれてきてのせられ、ろうそくの火が消されました。その後、クナ(土をこねたようなものに見えた)が運ばれてきて、歌が歌われ、「手をあけないで」とか、言っていた気がする(たしかではない)。そして、花嫁の手にクナが塗られた瞬間、花嫁のお母さんが大声で、叫び泣きました。本当に、叫び声をあげながら、走り、その場を去りました。
あとで、その話を花婿さんは聞いて、「泣かないって言ったのに。明日は、お母さんから、娘さんをもぎとる。」なんて、言っていたけれど、泣いたのは仕方ないと思いました。
あとで、見せてもらった新居には、花嫁さん自身がいつかくる結婚のために準備しつづけたレース編みがたくさん飾られ、手編みの靴下、手編みのお風呂用タオルが1段ずつ、引き出しにきれいに入っていました。みんなが踊っている間も、例の奥さんが手をひいて、立たせても、はずかしそうに、ちょっと、手を動かしてみるように踊るとすぐに座ってしまうような、はにかみやさんの彼女です。きっと、大事に、箱入りも箱入りで、14,5才のときから、いつか結婚するときのために、大事に、大事にされながら準備してきたのだろうと想像しました。どうかな?
結婚前日独特の花嫁の美しさは、どこの国の女性も同じだなあと思いました。美しかったです。
そして、集まっていた女性たちが、花嫁以外の人は、みんな化粧をしてないみたいなのに、肌がみんな透けるようにきれいだったのに、見とれてしまいました。それまで、うちの近所で見る外国人たちは、しみだらけで、肌のきたない人が多いと感じていただけに、余計に目をひきました。こういう普通の庶民の女性たちは、家の中にいることが多いのかなと、勝手ながら想像してしまいました。
コンクリート張りの、広いガレージのようなところで行われた会でした。私は、みんな一斉に輪になって踊ることを想像していましたが、いろんな人がめいめいに楽しんでいる印象をうけました。そして、その、奥さんに随分助けてもらいました。私が踊っているのを見て、「気に入ったわ。一緒に踊りたくなったわ」と私の向かいに来て、踊ってくれたおばあさんもいました。途中、ナッツの入った袋が配られました。座ってつまんだりしました。
クナゲジェシには、どういう服装で行けばよいのか、随分迷いましたが、みんな、普段の好きな格好でいいと言ってくれたので、膝丈までの、地味目のワンピースで行きました。本当に何でもよかったけれど、やはり、長いスカートか、ズボンにすればよかったと思いました。というのは、部屋の端にぐるっと置かれた背の低い長いイスにみんなで座るので、女の人しかいないといえども、おばちゃんたちがスカートの中が見えてはいけないと気にして、ひざに、服をかけるようにと、子供の服を貸してくれたからです。
心に残った夜でした。
写真は、お嫁さんの手に、クナを塗って、ナプキンをのせて、布の袋をかぶせたところです。

コメント:
その日の様子を思い浮かべて、読みました。すごいね、いろんな体験をしているんだね。ステップをふむ、というところから社交ダンスと緩やかなフラダンスのミックスしたものを想像したのだけど、どう?うちの娘の嫁ぐ前夜にTulipさんに踊ってもらおうかしら。もちろん私も躍るわ!
 
口で説明するのは、難しい!!
いろんな踊りがあったし。
社交ダンス風に、2人一組で向き合って踊るときも、ありました。まわりたくなったらその場でまわったり。
あと、腕から指先まで、しなやかに揺らすときもあって、それは、フラダンスと似ていると言えるかもしれない。私の印象ではベリーダンスの人の手と一緒です。
小指で両隣の人とつながって輪になって、フォークダンスのように、決まったステップを繰り返すときもありました。
指をならすポーズを繰り返すのも、特徴的でした。
 
コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]





<< ホーム

This page is powered by Blogger. Isn't yours?

登録 投稿 [Atom]